- 大学職員に中途採用されるにはコネがないといけない?
- コネなし・経験なしの30代でも転職できる?
- コネなしの中途採用で年収はどのぐらい稼げる?
大学職員は「安定・高収入」として人気の職種ですね。
しかし、「教授や職員にコネがないとそもそも採用してもらえない」という口コミをよく見かける方も多いのではないでしょうか。
今回は、30代で私立大学職員に転職し、現在進行形で大学職員として働いている方に、大学職員の採用の実態をお聞きしました。
ぜひ参考にしてみてください。
この記事を書いた人
営業マンから大学職員に転職して現在勤務8年目。
私立大学の正職員としてワークライフバランス重視で働いています。
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この記事の目次
大学職員の中途採用にコネは必要?私が体験した仕事内容
体験談をお聞きした方のデータ
- お名前 :高橋直人
- 現在の年齢:37歳
- 雇用契約 :正社員(30代で未経験から中途採用)
- 年収 :約600万円(月給36万円+ボーナスは月給の4ヶ月分)
- 勤務先規模:大学職員は約100名。中小の規模の私立大学
私は大学職員として私立大学で働いています。
30代・業界未経験の中途採用で採用されました。
大学内の事務運営や学生の対応、大学の広報やオープンキャンパスの運営などが主な業務です。
大学入試が行われるシーズンには、入試全般の運営にもたずさわります。
大学職員として中途採用されるために、コネは必要でしたか?
私の場合は、大学内にコネなどはまったくありませんでした。
働いているのは私自身が卒業した大学とは関係がない大学ですし、もともとの教授や職員に知り合いなんていません。
「大学職員にはコネがないなれない」というネット情報が多いようですが、実際に働いている身としては「中にはそういうケースもあるのかな」というのが正直な感想です。
もちろん、大学の教授の強い推薦があるとか、採用担当の大学職員に強いコネがあるとかいった事情があるなら、転職で有利になることはあるでしょう。
しかし、それは大学職員以外の仕事でもすべて同じだと思います。
例えば、一般企業に転職するときに、応募先企業の社長のコネがあれば採用されやすいのは当然ですよね。
「大学職員だから中途採用には特別なコネが必要」ということはないと思っています。
大学職員に中途採用で転職したいならコネよりも重要な事がある
大学職員として中途採用で転職したいのなら、コネを探すことよりも重要な事があります。
それは「これまでの職務経歴を生かして、即戦力になれること」をアピールすることです。
面接や志望動機では「私の職歴はこうです。この仕事ではこういうことを経験したので、この経験は大学職員の仕事で生かせると考えています」ということをアピールしましょう。
また、30代以降の転職の場合、転職先では「管理職となれる人材であるか?」もチェックされています。
過去にチームでリーダー的な立場で仕事をした経験があるなら、どんな小さな経験であってもアピールされると良いと思います。
大学職員の給料に不満はありますか?
私の年収は額面でおよそ600万円です。
いわゆるヒラ社員でこの年収ですから、一般的な事務職に比べるとかなり良い方かもしれません。
ただ、妻と子供2人を養っていくとなるともう少し欲しいかなというのが本音です。
私の給与明細は以下の通りです。
- 月給:36万円(手取り額は28万程)
- 賞与:7月と12月の2回(トータルで基本給の4か月分)
- 年収:約600万円
↓月給36万円の内訳は以下の通りです。
- 基本給 :30万円
- 家族手当:3万円(妻、子供2人)
- 住宅手当:3万円
賞与は毎年業績によって変動しますが、およそ月給の4ヶ月分程度が平均です。
昇給については、基本的には年功序列で上がっていきます。
昇給テーブルがあり、自動的に毎年昇給していくシステムですね。
事務職ということもあり、なかなか仕事の貢献度での評価がしづらいので、こうしたシステムになっているのかと思います。
大学職員に転職するには具体的に何をどうすればいいですか?
「大学職員」をキーワードに、転職サイトで検索してみるのが一番効率的かと思います。
求人が出るたびに地道に応募していけば、書類選考に進めると思います。
特別な学歴や職歴が必要ということもないです。
私も特別有名な大学を出ているわけではないですから。
転職サイトに希望条件を登録しておいて、
自動配信の求人情報メールをこまめにチェックするというやり方がおすすめです。
これならまず求人を見逃す事がないです。
有名大学の職員など「人気の求人」に採用されるには情報収集とスピードが命
大学職員の求人にしぼって情報をたくさんみているうちに、
どのぐらいの条件が好条件なのか、といった嗅覚のようなものが働くようになります。
大学職員の求人は人気なので、情報収集とスピードが命です。
特に、有名大学の条件の良い求人はすぐ枠が埋まってしまうので、求人情報は見落とさないようにすべきですね。
なお、第二新卒の方(大学を卒業してからおおむね3年以内の人)であれば、転職活動はより成功させやすいと思います。
私の大学でも比較的若い人を採用する時には、新卒ではなく第二新卒を採用する事が多いです。
大学職員の求人が増える時期は?
結論から言うと、「いつの時期が採用が多い」と言うことはありません。
欠員が出た時に職員を募集する大学が多いからです。
年中採用している大学もあり、合格者が充足したら募集終了となるところも少なくなく、早めに行動することが大事です。
人気職種なだけあって、ゆっくりやっているとまず書類選考に間に合いません。情報収集がとても大切です。
転職サイトで求人を見つけたら「とりあえず応募だけはしておく」ぐらいのスピード感が必要だと思います。
大学職員は中途採用(新卒でない転職組)でも採用されますか?
はい。中途採用でも問題ないと思います。
私自身も中途採用ですし、私の職場には中途採用者がとても多いです。
大学業界は新卒採用よりも、即戦力となる中途を多くとる傾向があります。
大学職員というと、どちらかというと「内輪」「閉鎖的」といったイメージがありますよね。
「採用されるにはコネが必要」という口コミが多いのもうなづけます。
しかし、実際には新しい風を起こせる人材を中途採用で入れようと考えている経営陣の方が多いようです。
大学業界の知識はなくとも、社会人経験をしっかりと積んできたこと、
そしてそれを大学職員としてどう活かすかをしっかりとアピールできれば採用の確率はグンと高まると思います。
大学職員は人気の職種ですか?人気だとしたらそれはなぜだと思いますか?
はい。人気職種という認識で正しいと思います。
特に安定的な身分を得たい20代後半〜30代の転職者が多い印象です。
もちろん、「教育業界を支える」という点に情熱を感じる方もいるでしょう。
↓しかし、基本的には以下のようなことがきっかけで大学職員を目指す人が多いと思います。
大学職員が人気職種である理由
- 一般的な事務職と比べて給料が高い
- 倒産の可能性が極めて低い(特に有名大学では学生の定員割れはありえない=大学は安定的に収益を上げられる)
- 大卒者であれば大学というなじみの深い環境で働ける
- 大学の休みに合わせて長期休暇を取りやすい
- 基本的に定時に帰宅できる
このように、労働環境が良いことが人気の職種となっている理由だと感じています。
実際に一緒に働いている人たちと話をしても、転職時点では労働環境のことだけを考えて転職活動していたという人が多いです。
もちろん、転職後はこの仕事の魅力に気づいてやりがいを持って働いている人が多いですけどね。
定員割れを起こすようなマイナー大学の場合、大学職員も決して安泰ではない
ただし、近年の少子化の影響により受験生の数が減ってきていることも事実です。
もちろん、ある程度名前の通った有名大学は相変わらず高い競争率なので「少子化なんてどこ吹く風」という感じでしょう。
しかし、毎年定員割れになるようなマイナー大学では「生き残りに必死」という状況もあるようです。
そのため、大学職員としてのキャリアを目指す人は、マイナー大学に入って経験を積み、有名大学にキャリアアップ転職をしていくというケースが多いですね。
比較的マイナーな大学に勤める場合は、大学職員ひとりひとりが「学生を集めるにはどうしたらいいか?」を考えて働いていかないと、先行きが厳しいでしょう。
勤務されている大学の職務環境について具体的に教えてください
私が勤務している大学は、従業員が100人ほどの職場です。
マンモス大学となると、数千人規模になりますので、それに比べると小規模です。
しかし、職員全員の顔と名前が分かるという面から、アットホームな一面もあります。
職員の平均年齢は45歳前後です。
一般企業と比べると、やや高めですね。
これはその働きやすさから一度この職についたら定年まで働くことが当たり前の文化であることも挙げられます。
大学職員の男女比率は?
事務職ですので、女性の職員の比率が多いのも特徴です。
私の大学では「男性6:女性4」ほどの男女比率になっています。
女性は結婚や出産を機に退職するケースもありますが、子育てがひと段落すると、パートで戻ってくることが多いです。
働いている部署はどんな仕事をしていますか?
私の部署は、入試広報部という部署です。
入試はその名の通り、大学入試の設計から運営までを行います。
具体的には大学の試験実施要項を作成したり、大学の試験時には会場の設営や試験官・面接官を担当したりします。
広報は、大学の魅力をいかに学生や世間に伝えるかを主に行う仕事です。
大学案内のパンフレット制作や各種SNSの運営、高校にいって大学の宣伝をしたり、夏にはオープンキャンパスの運営を行ったりします。
これからの未来を担う、良い学生を入学させることが一番の目標であり、それがやりがいにもつながります。
大学職員の働く時間や残業・休日出勤の有無について教えて下さい
働く時間は朝9時〜18時が基本ですが、部署や時期によって変動します。
例えば、夏休みの期間や冬休み、春休みの期間はそもそも学生も教員も不在のため、閑散とします。
その場合、朝早くきて早めに帰る、逆に遅めに来て遅めに帰る、自由に勤務形態を選ぶことができます。
入試の時期は特に繁忙となりますので、22時くらいまでの残業が連日続くこともあります。
もっとも、残業代はしっかり支給されます(管理職の人は出ません)
入試の当日は基本的には土日となります。
しかし、別日で休みを取れるので、振替出勤扱いとなり、休日割り増しはつきません。
大学職員の仕事が楽しい、やりがいがあると感じる瞬間はどんなときですか?
日常的に学生と接する機会があることです。
一回り以上年下の学生ですが、自分が大学生の頃と比べると、とてもしっかりしている子が多い印象があります。
大学パンフレット制作やオープンキャンパス運営にあたっては学生の協力無くしては成功させることができません。
特にこれらの仕事に協力してくれる学生はとても優秀で前向きな学生が多く、とてもモチベーションが上がります。
大学職員の仕事で「ここがつらい・しんどい」という点を教えてください
心理的や肉体的なつらさ、しんどさというものはほぼ感じません。
あえて挙げるとすれば、仕事の評価体制がしっかりしていないことでしょうか。
たとえば「こんなに頑張ったのにこれだけしか給料があがらないのか」「ボーナスはこれだけか」といった点で、しんどさを感じることはあるかもしれません。
ただし、平均年収そのものは高い水準だと思います。
事務職希望の方で収入アップしたい人は転職先として選んでみる価値はあると思います。
辞めていく人は、結婚・出産などの家庭環境の変化などの退職理由が大多数ですね。
大学職員の仕事に向いている人は、どんな人だと思いますか?
職員間だけでなく、学生や教授陣とも接する機会が多いので、コミュニケーション力は必須です。
また、基本的には毎年同じ業務をルーチンで繰り返すことが大学職員の仕事です。
決められた仕事をしっかりコツコツこなせる人には向いています。
自分が過去につちかった経験を活かして、いかに大学をよくしていくかという気持ちをもった人にぜひ挑戦して欲しいですね。
まとめ
今回は、大学職員の中途採用の実態について解説しました。
結論的にはコネはなくても採用される可能性は十分あります。
出身校でなくても普通に採用されますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
「大学職員の求人がなかなか見つからない…」という人へ
大学職員の求人ってなかなか見つけにくいですよね。
もちろん、「とりあえず大学職員になれるならどこでもいいや…」みたいな感じで探すならたくさん見つかるとは思うんですが、
こういう探し方で見つかるのって、
たいていはブラック環境な大学職員の求人だったりします。
大学職員とひとくちにいっても、
実際に働く環境はさまざまなので注意してください。
大学職員といってもすべてがホワイトではありません。
同じ「大学職員」でも、
↓こんな感じで二極化しているのが2024年現在の実情ですね。
- ブラックな大学で働く大学職員たち
安い給料で新人研修もなくいきなり現場に放り込まれ、恥をかきながら仕事を覚えさせられ、やる気のない学生相手に誰からも感謝されず、しんどい働き方をしている人たち。 - ホワイトな大学で働く大学職員たち
最初から平均より高い給料で、しっかりとした新人教育を受けることができ、職場の仲間と協力しながらやりがいを持って働ける環境。
残業も少ないのでワークライフバランスを実現できている人たち。
↑同じ大学職員なのに、
なぜこういう差がついてしまうのか?ですが、理由は簡単です。
毎年入学者が殺到するような人気大学と、
学生にぜんぜん人気のない定員割れの過疎大学…では、
大学職員として働く環境がまったく違うからです。
大学は、学生さんたちが納めてくれる学費によって成り立っている組織です。
大学職員の給料もそこから出ています。
なので、学生に人気がなくて学費をちゃんと集められていない大学では、
経営は苦しくなり、大学職員の給料も安くなってしまうのです。
しかも、こういう不人気大学では、
人件費を少しでも安くするために、
最低限のスタッフ数しか雇用しない傾向があります。
結果的に、職員は限界ギリギリの状況で現場をまわすことになり、
土日出勤やサービス残業の横行する、
激務ブラックな雇用環境になりがちなんですね。
「偏差値高い大学 = ホワイト職場」ではない(2023年の学生数ランキング参照)
注意していただきたいのは、
必ずしも「偏差値の高い大学=大学職員にとってホワイトな雇用環境」ではないことです。
高偏差値大学の職員になれた!
…と思って実際に職場に入ってみたら、
地獄のような職場環境で体調を崩し、
退職を余儀なくされた…。
なんてことは珍しくないので、注意して下さい。
例えば、2023年の学生数ランキング(私立大学)がこちらなんですが、
↓学生数で1位は日本大学です。
↑早稲田(2位)や立命館(3位)、慶應(6位)など、
偏差値トップクラスの私大もランキングに入っていますが、
4位に近畿大学、5位に明治大学、7位に東洋大学…と、
偏差値的にはあまり有名でないところも、
学生数ではランキング入りしている「人気大学」だったりするんですね。
先にもお伝えしたように、
大学職員の給料は学生さんの納める学費から出ています。
少しでも良い環境の大学で働きたいなら、
学費をしっかり集められている人気大学で働くことが必須になります。
大学職員として「自分の職場を選ぶ」という視点で見る場合、
見るべきなのはその大学の偏差値ではなく、
学生をたくさん集められている人気大学かどうか?であることを知っておいてください。
学校法人は「大学運営だけ」で利益を出しているわけではない
また、あまり名前の通っていない大学であっても、
ホワイトな大学職員として働けるケースもあります。
大学経営そのものがうまくいっているケースがあるからです。
大学というのは「学校法人」という組織が運営しているんですが、
学校法人は大学運営だけで利益を出しているわけではありません。
なかには大学付属の保育園〜高校の一環運営などで、
しっかりと利益を出しているところもあったりするんです。
大学を「自分が働く職場」として考える場合、
見るべきなのは有名大学かどうか?ではなく、
きちんと利益を出していて、
職員の給料や雇用環境の良い大学か?
であることに注意しましょう。
私も「とりあえず大学職員になれるならどこでも…」で転職活動し、地獄に落ちました
- 大学職員になれるならどこでもいい。
- 最初はお給料が安くても、年功序列で給料アップしていくはず。
- なので、大学職員の求人を見つけたら、とりあえずかたっぱしから応募する!…
↑これ、実は私がやってしまったミスなんですが、
「大学職員ってホワイトらしいので、
とりあえず採用してもらえるならどこの大学でもいいや…」
みたいな感じで、テキトーに転職活動していました。
(大学のサイトの採用ページを毎日チェックして、
かたっぱしから応募していました)
今から考えたらアホだったなあ…という感じなんですが、
結果的にブラックな大学職員求人に応募してしまい、
最悪な労働環境に入ってしまったことがあります。
結局、その後に別の大学に転職したんですが、
今から思うと、ブラック大学で働いていた期間って本当に人生で無駄な時間でした…。
これから転職活動を始める人は、
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には絶対にこだわってしぼりこんだ方が良いです。
ブラックな大学にまちがえて応募してしまうと、
貴重な人生の時間をドブに捨てることになります。
ホワイトな大学職員になりたいなら、
しっかりとホワイト大学の求人を狙って応募することが大切になります。
ここだけはきちんとやっておかないと、
あとでものすごく後悔することになるのでくれぐれも注意してください。
せっかく大学職員に転職するなら、
ワークライフバランスが良いホワイト環境で働きましょう。
お給料も高い方が良いに決まってますからね。
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