
(臨床検査技師の働く場所の選択肢は?)
この記事では、臨床検査技師の資格を持つ人が働く場所の選択肢について解説いたします。
ちなみにこの記事を書いている私自身も、現役で働く臨床検査技師です。従業員230名程度の中規模医療施設で9年ほど働いています。
臨床検査技師という仕事は、どの職場で実務経験を積むか?によって実力に大きな差の出る仕事です。
特に、これから初めて臨床検査技師として就職するというタイミングの人にとって、どこの職場で最初の実務経験を積むかは重要な問題といえます。
「最初の職場に恵まれるかどうか?」はその後のあなたのキャリアに大きな影響を与えるからです。
- 臨床検査技師の国家資格を取得して、これから勤務を始めようとしているけれど、働く場所の選択肢としてどんなところがあるのかよくわからない…。
- すでに臨床検査技師資格は持っているが、今は資格を生かして働けている自信がない。せっかく身につけた知識と資格を生かせる職場に転職したい。
- すでに臨床検査技師として働いていて、年収アップとキャリアアップのために別の職場に転職しようと考えている。
↑こうした悩みをお持ちの方に向けて記事を書いてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
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この記事の目次
臨床検査技師の働く場所1:病院・クリニック
病院・クリニックを有力な働く場所の選択肢にしている方は多いでしょう。
病院やクリニックを働く場所として選択する場合は、
実際に働く施設の規模や方向性によって、臨床検査技師の働き方がかなり違うことに注意しておきましょう。
↓「臨床検査技師の働く場所」という観点から考えた場合、病院やクリニックは以下の2種類に分類できます。
- 検体部門や生理機能部門に幅広く関わっていける施設
- 検体部門は外注化されていて、職員としては生理機能部門だけに関わっていく施設
↓それぞれのタイプの施設について、業務内容や求められる適性を理解ししておきましょう。
1.検体部門や生理機能部門に幅広く関わっていける施設
1.の「検体部門や生理機能部門に幅広く関わっていける施設」ではどのような働き方になるでしょうか。
こちらの種類の施設では、特定の検査への深い専門性や知識・技術よりも、その時その時の検査依頼に対して柔軟に対応できる能力が求められます。
日常的に分野を問わずに幅広い検査にかかわることになりますから、検査内容に合わせて幅広く情報収集や勉強、最新知識を吸収することが求められます。
2.生理機能部門だけに関わっていく施設
2.の「生理機能部門だけに関わっていく施設」ではどのような能力が求められるでしょうか。
こちらのタイプの施設は、深い専門性が求められるのが特徴です。
各学会の認定技師などの資格取得がほぼ必須となるでしょう。
どちらかというとスペシャリスト気質の人、ひとつのことを突き詰めて取り組めるタイプの人が向いていると言えます。
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病院とクリニックの業務内容の違い
なお、病院とクリニックでは、業務内容には違いがあります。
病院では臨床検査業務にほぼ専念することができます。
純粋に臨床検査業務の実力を伸ばして行きたい人は、病院を働く場所の第一候補にすると良いでしょう。
一方、クリニックでは、事務・院内環境整備(いわゆる雑用)、また、X線やCT検査のポジショニングの仕事も含まれます。
本来X線やCTは診療放射線技師の業務ですから、照射ボタンは放射線技師がしなければ違法となります。
しかし、撮影のための位置決めの作業はグレーゾーンなのです。
ですから、看護師が位置決めをしているクリニックも実際は多いですね。
クリニックでは「グレーゾーンの業務」を多く経験できる
クリニックでは、なにかとこうした「グレーゾーンの業務」についても経験することになります。
悪くいえば「何でも屋さん」という感じの働き方になりますが、よく言えば「ジェネラリスト」として幅広い業務に対応することができる臨床検査技師となれるでしょう。
将来的に転職を考える状況となった時も、さまざまな業務に幅広く対応できる方が有利であることは間違いありません。
自分の希望する病院・クリニックに転職するには?

(臨床検査技師として理想の働く場所を見つけるには?)
ここまでみてきたように、病院・クリニックにはさまざまな環境の働く場所があります。
あなた自身も「将来はこういう臨床検査技師になりたい」と思い描いているビジョンがきっとあるでしょう。
そのビジョンを現実のものにするためには、働く場所の選択肢をあなたの手元に豊富に持っておくことが大切です。
どんなに良い条件の求人であったとしても、採用のタイミングによってはあなたが採用されない可能性は常にあります。
1つの選択肢しか持っていないと、その求人の採用に落ちてしまうと絶望的な状況になってしまうでしょう。
これではあせって希望しない職場に就職することにもなりかねません。
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臨床検査技師の働く場所2:健診センター
健診センターや人間ドック専門としているクリニックは、性質がやや特殊です。
つまり、病気の患者さんを相手にしているのではなく、健康である人を相手にしています。
高額な検査料金を自費で支払い、多数の施設の中から選んで来てくれているので、いわゆる「お客様」としてのサービス業となります。
つまり、医療の仕事ですが、一般企業と同じ性質だと言えます。
従って、高い検査の知識・技術は勿論のこと、接遇・マナーが非常に重要視されます。
外見の身だしなみ、清潔感、所作などが病院やクリニック以上に高く求められます。
こうした施設では、スタッフのユニフォームも随分と凝ったデザインを導入したりしています。
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臨床検査技師の働く場所3:検査センター
検査センターは、検体検査を専門に扱っています。
営業の方が、契約している施設から検体を預かり、検査を行います。
検査センターには、大規模なラボが北海道・東北・関東・甲信越・中部・関西・四国・九州・沖縄の各ブロックに数か所あります。
そのほかに緊急・迅速に検査を行い、データを提供する中小のラボが都道府県ごとに数か所点在しています。
ほぼ1日検体、検査機器、データと向き合う形になります。
どのラボに採用されるかにより業務の忙しさにも大きな違いがあります。
定時で終われるところはあまりありません。
なぜなら、慢性的な人員不足だからです。
しかも、その割に給与などの待遇面は低い傾向があり、人気があるのはむしろ病院やクリニックとなっています。
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臨床検査技師の働く場所4:研究職
研究職としての活躍は、大きく分けて、大学の研究室、企業の研究部門となります。
大学の研究室で実験等に関わる多くの職員は、非常勤職員またはパート・アルバイトです。
研究室の先生方から多くの情報や最新の知識を聞くことができる面もあり、研究室での研究内容に自分の関心がフィットする人にとっては居心地がとても良い環境です。
ただし、給与などの待遇面は良くありません。
自宅から通って自分の生活に困らない程度の額が貰えれば良いという人には問題ありません。
企業の研究室は、正社員までの道のりが非常に長いです。
多くの場合、非常勤や派遣として入職して、日々の業務を通してステップアップし、正社員を目指す形になります。
待遇面は、大学の研究室よりはよく、病院やクリニックよりはやや低いというレベルとなります。
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臨床検査技師の働く場所5:その他の業種
最後に、他業種です。
↓臨床検査技師の働く場所としての代表的な例としては、メーカーの検査機器のサービスエンジニア、治験コーディネーター、臓器移植コーディネーターを挙げることができます。
- メーカーの検査機器のサービスエンジニア
- 治験コーディネーター
- 臓器移植コーディネーター
↓それぞれの働く場所の仕事内容について、順番に解説いたします。
メーカーの検査機器のサービスエンジニア
メーカーの検査機器のサービスエンジニアは、検査業務そのものよりも検査機器そのものに興味がある人に向いています。
仕事の性質からMEの2種資格を取得している人が多数です。
1日に医療機関から複数件数メンテナンスや修理の依頼が入る日は帰社が18時から19時過ぎになる所も多いです。
ただし、土日祝日はよほどの事がない限りは休日のため、オンとオフの区別が付けやすいかと思います。
治験コーディネーター
治験コーディネーターは、新薬開発に関わる中での、医療機関で行う治験についてのスケジュール調整、被験者とドクターの調整役などが主な仕事です。
カルテが読めないと仕事にならないため、医療用語の熟知も必須です。
また、社内での認定試験なども多く、直行直帰、宿泊を伴う出張も多いです。
体力勝負の面も強いです。
待遇面は、バックに製薬メーカーがいることもあってか、臨床検査技師の活躍の場では高いレベルです。
臓器移植コーディネーター
臓器移植コーディネーターは、自分の所属する都道府県で臓器を提供する症例、また、臓器を貰う症例が出た場合が主な仕事となります。
ただ、こうした症例はいつ発生するか分かりません。
発生した際にはすぐに対応を始めなければならないため、休日は勿論ありますが迅速に業務に入れる状態を常に作っておく必要があるため、実際には自由にかなりの制約があります。
症例発生の間は休めませんからハードです。
その後の移植に関わった提供者、貰った患者さんと家族へのフォローも含まれます。
症例の発生がない場合には、事務的な業務や臓器移植の啓発活動ななどに当たります。
待遇は、都道府県単位での任期制の非常勤職員である事が多く、自分自身をこうした臓器移植が必要な患者さんのために捧げられるだけの気持ちがないと務まらないと思います。
逆に、その情熱がある方には適任だと思います。
sita↓